見えない暴力からの脱却:ASD特性を持つパートナーとの生活、カサンドラ症候群、そして希望へのロードマップ
「渡される生活費が少ない」「何度訴えても子どもの成長に合わせて生活費を増やしてくれない」—もしあなたがこのような苦悩を抱えているなら、それは単なる金銭トラブルではなく、見えない暴力、「経済的DV」と「モラルハラスメント」の可能性があります。今回のブログでは、私自身の体験談を交えながら、アスペルガー症候群(ASD)の特性を持つパートナーとの関係で生じる困難、それに伴う「カサンドラ症候群」の現実、そしてそこから抜け出し、自分らしい人生を取り戻すための具体的な方法と相談先について、詳しくご紹介します。
私の経験:見えないDVと限界 [ユーザーの体験談]
私の夫は、人との関わりやコミュニケーションが苦手で、特定の物事に対するこだわりが強い、といった特性を持っていました [1]。私は夫の言動の「少し変わっている」という部分が、後にアスペルガー症候群(ASD)の特性に由来するこだわりであったと知ることになります。特に、お金に対するこだわりが強く、子どもの成長に伴い生活費が増える必要性があるにもかかわらず、何度訴えても十分な生活費を渡してくれない、といった状況が続きました [2, 3]。
夫婦には、収入の多寡に応じて生活費を分担する義務があります [4-6]。しかし、夫が正当な理由なく生活費を渡さない、または明らかに少ない金額しか渡さない状況は、経済的DVに該当し、場合によっては「悪意の遺棄」として法定離婚事由にもなり得ます [4, 5, 7-11]。
この状況を補うため、私は正社員フルタイム勤務に加え、パート、さらには副業という「トリプルワーク」をせざるを得ませんでした。仕事と家事育児に追われ、一日の睡眠時間は3〜5時間という極限の状態が続き、やがて不眠に悩まされるようになりました [12, 13]。血液検査では白血球の数値に異常が見られるようになり、身体的な健康も損なわれ始めました。睡眠不足は仕事のパフォーマンスにも影響を及ぼし、精神的にも肉体的にも限界を感じる日々でした。
このような苦しい生活に終止符を打つため、私は夫に別居を申し出ました。幸いにも夫は別居を了承してくれ、物理的に距離を置くことができました [14, 15]。別居後も様々な課題はありますが、夫からは謝罪の言葉と、今後の協力の約束を得ることができました。この一歩が、私自身の心身の回復と、未来への希望を取り戻すための大きな転換点となりました [14, 15]。
ASD(自閉スペクトラム症)とDV的な特性
アスペルガー症候群という名称は、現在では「自閉スペクトラム症(ASD:Autism Spectrum Disorder)」という診断名に統一されています [1, 16-20]。ASDは、生まれつきの脳の機能の特性により、人との関わりやコミュニケーションの困難さ、興味の偏りやこだわり、感覚や運動の偏りが見られる神経発達症群の一つです [1, 18, 20, 21]。親の育て方や本人の性格、生活環境が原因でASDになるわけではありません [19-22]。
ASDの特性の現れ方は一人ひとり異なり、重症度や知的発達の遅れの有無、成長に伴う変化によって多様です [1, 20, 23, 24]。知的障害を伴わない場合、幼少期には気づかれにくく、就学期以降や成人になってから社会生活での困難を感じて初めて診断されるケースも少なくありません [20, 25]。
ASDの具体的な特性と、それがDV的な言動に繋がり得る例を以下に挙げます。
- 人との関わりやコミュニケーションの困難さ [1, 18, 20, 21, 25]
- 相手の状況を考えずに自分の言いたいことを中心に話す [2]。
- 相手の表情から気持ちを読み取ることが苦手 [2, 16, 20, 21, 26]。これにより、相手が傷ついていることに気づかず、配慮のない言葉を平気で発してしまうことがあります [26]。
- 例え話や冗談が通じない、言葉を文字通りに受け取る [2, 16, 21, 26]。例えば、生活費が足りないという間接的なSOSを理解できない、といった状況が生じることがあります。
- 難しい言葉を使ったり、大人びた言い方をしたりする [2]。
- 共感性の欠如: 人の心情を直感的に理解し、共感することが苦手なため、場の空気を読むことや、相手の気持ちに寄り添う言動がとれず、対人関係でトラブルを抱えがちです [16, 21, 26, 27]。私の夫が生活費を増やしてくれない、私の心身の不調に寄り添ってくれない、といった状況は、まさにこの共感性の欠如が背景にあったと考えられます [28]。
- 興味の偏り・こだわりの強さ [1, 18, 20, 21, 25]
- 特定の物や手順、スケジュールにこだわり、変更するとパニックになる [2, 21, 26, 29]。金銭管理においても、自分の決めたルールや予算に強くこだわり、家族の状況変化に応じた柔軟な対応が難しいことがあります [30]。
- ルールや約束を忠実に守ることに必死になり、相手にも求めてしまう [2]。
- 興味・好みの範囲が非常に狭く、深い [2]。自分の興味のあることには過剰に熱中し、他を顧みない傾向があります [26, 30]。これが趣味への過度な支出や、家族の生活費への無関心に繋がる場合もあります [30].
- 物を一列に並べたり、置き方にこだわったりする [2]。
- 感覚と運動の偏り [1, 21, 22, 29]
- 特定の感触や音を嫌がったり、特定の感覚にこだわる [21, 22, 29, 31, 32]。逆に、痛みや暑さ寒さに鈍感な場合もあります [22, 29, 32]。
- 味覚が敏感で、好き嫌いが激しい [22, 32]。
- 不器用、身体の動きがぎこちない、運動が苦手 [22, 29]。
これらの特性の中でも、特にDVやモラハラと関連が指摘されるのが「尊大型ASD」です [33, 34]。尊大型ASDは、ASDに「自己愛性パーソナリティ障害」が重なった状態と捉えられ、「自分が特別だと思い、他者を見下す」という特徴があります [33, 35-37]。彼らは自分より相手が「下」で「正しい」と思い、自分のルールを優先し、意に沿わないと激高することがあります [38]。相手の気持ちを気にせず、自分の目的のために相手を利用することさえあります [38]。
尊大型ASDを持つ人は、自分自身はあまり困らない傾向にありますが、周囲の人々、特に配偶者へのストレスが非常に強いという特徴があります [38, 39]。彼らの高圧的な言動は、パワハラやモラハラ、そしてカサンドラ症候群の原因となることが多く、パートナーを精神的に追い詰めることになります [33, 34, 39]。彼らは自分の間違いを決して認めず、責任転嫁する傾向が強く [40], 自分がモラハラをしていると指摘されても認めないことが多いです [40]。これは、彼らにとって「ごめん」と言うことが「自分の存在を全否定する」ことや「重罪を認めること」と捉えられている可能性があるためです [41]。
モラハラを行う夫の背景に、アスペルガー症候群などの先天的な発達障害があることも指摘されています [27]。このような特性は、長年培われた価値観であるため、簡単に変わることは難しいのが現状です [42, 43]。
カサンドラ症候群:見えない苦痛の深層
「カサンドラ症候群」は、国際的な診断基準で認められた正式な疾患名ではありませんが、発達障害の特性を持つパートナーや親しい人とのコミュニケーションに悩み、心身に様々な不調が現れる状態を指します [44, 45]。
カサンドラ症候群に陥る原因は、ASDのパートナーへの「報われない支援」の毎日から、精神的な苦悩や疲弊が蓄積されることにあります [44, 45]。ASDのパートナーは共感能力やコミュニケーション能力の欠如を特徴とするため、妻の気持ちを理解せず、自己中心的な行動をしたり、自分のルールに従わないと激しく怒ったりするモラハラを行うことがあります [44]。この結果、妻はどれだけ尽くしても愛情が返ってこない「報われない」感覚に苦しみ、夫が何を考えているか分からず、いつ感情が爆発するかも分からないため、常に夫の機嫌を窺い、びくびくしながら生活するような状態に陥ります [44]。
このようなカサンドラ症候群の妻の悩みは、多くの場合、周囲に理解されません [15]。ASDのモラハラ夫は、職場では優秀なエリート社員であることも多く、外面が良いため、周囲は家庭内の実態を把握しづらいことがしばしばあります [15, 46, 47]。そのため、カサンドラ症候群の妻は「贅沢な悩み」と受け取られ、誰にも相手にされないと感じてしまうことがあります [47]。
カサンドラ症候群の具体的な症状 [12, 15, 48]
カサンドラ症候群は、精神的・肉体的に多大な影響を及ぼします。その症状は多岐にわたります。
- 精神的な不調 [15]
- 抑うつ、無気力、慢性的な疲労感 [12, 15]。
- パニック障害 [15]。
- 記憶力の低下、物忘れのひどさ [12, 48]。
- 常にイライラし、感情のコントロールが難しい [48]。
- 自分が普通じゃないと感じ、逃げる力もない状態 [49]。
- 「今すぐに消えてなくなりたい」「孤独に押し潰されそう」といった絶望感 [28, 50]。
- 自分が暴力を振るってしまうのではないかという恐怖 [12, 13]。
- PTSD(心的外傷後ストレス障害)に見舞われるケースもあります [51].
- 身体的な不調 [12, 15, 48]
- めまい、片頭痛、自律神経失調症 [15]。
- ストレス爆発時に下唇の内側を強く噛む、髪をぐしゃぐしゃに引っ張る、口を金魚のようにパクパクさせる、瞬きが異常に早くなり息が苦しくなる [12]。
- 耳がほとんど聞こえない状態になったり、耳鳴りがしたりする [12]。
- 全身の異常なかゆみ、円形脱毛症 [12]。
- 常に体調が悪い、成人病や癌になるケースも [12, 13]。
子どもへの影響 [52, 53]
親のDVやモラハラを子どもが目撃することは、「面前DV」と呼ばれ、児童虐待の一種とされています [52]。家庭内での母親がモラハラを受ける姿を目にすることは、子どもにとって大きな恐怖体験となり、トラウマや心の傷のきっかけとなる可能性があります [52]。たとえ直接目撃する機会が少なくても、家庭内の緊張感を子どもは敏感に感じ取ります [52]。このような経験は、子どもが将来的にモラハラ加害者になってしまうリスクもはらんでいます [52]。私の例では、不眠や白血球の異常といった身体症状が出てしまいましたが、子どもたちへの長期的な影響を考えると、別居という決断は非常に重要でした [52]。
ある投稿者「にこちゃんさん」の母親はアスペルガーで、幼少期から分かり合えない違和感や理解できない言動に苦しみ、自身がうつ病になりカサンドラ症候群と診断されたと語っています [53]。彼女は「親の顔色を見ては自分を犠牲にして成長する癖がつく」「アスペルガーの親を持つ子どもの苦しさは尋常ではなく、子どもの未来に蓋をするようなもの」と訴えています [53]。別の投稿者「夜空に星をさん」の息子さんも、父親のASD特性を「昔から話の流れ読めない」と指摘しながらも「大学には変わった人なんていっぱいいる、気にしすぎ」と、特性を差別なく受け入れる一方で、カサンドラの理解までは難しい様子を見せています [54]。
「期待しない、諦める」という選択 [54, 55]
カサンドラ症候群の苦しみは、配偶者への「期待」があるからこそ生まれます [55]。多くのカサンドラ経験者は、パートナーが「変わってくれる」という淡い期待を抱き続けますが、モラハラは簡単に治るものではなく、長年培われた価値観や心の病気が背景にあるため、改善には非常に長い時間を要すると言われています [42, 43]。
一部の経験者は、モラハラ夫への対応を「痴呆症の老人に対する接し方と同じ」と表現しています [55, 56]。つまり、相手に期待せず、真に受け止めず、言葉尻に囚われずに「スルーする」ことで、自分自身の精神的ダメージを軽減しようとします [56-58]。これは「相手を無視する」こととは異なり、話を受け取った上で、感情的に巻き込まれずに受け流すことを意味します [58, 59]。
また、投稿者の中には、高学歴・高収入・外面が良いといった条件が揃っているASD傾向の彼氏との結婚を迷う若い女性に対し、経験者たちが「愛されたくて、かつ愛しているなら結婚はやめた方が良い」「質素な生活でも気持ちの通じる相手と温かい家庭をつくる、または男性に頼らず、友人やペットと気持ちの交流を得て生きていく、という選択肢もある」と強く忠告する声も上がっています [60-62]。結婚すれば「毎日否定される」「一生家政婦待遇、奴隷」になると表現する声もあり、結婚後の苦労を未然に防ぐための警鐘が鳴らされています [62, 63]。
解決への道と相談先
カサンドラ症候群から抜け出すためには、まず自分自身の心身を守ることを最優先に考える必要があります [64]。
1. 夫の言動への対処法
- 直接指摘する(ただし安全を確保して): 「あなたのそういう言い方は傷つくからやめてほしい」と、感情的にならず事実に基づいて冷静に伝えることが大切です [65]。相手が逆上する可能性がある場合は、カフェなどの第三者がいる場所での話し合いを検討し、安全を第一に考えてください [65]。
- 毅然と言い返す: 「それはあなたの考えであって、私はそう思わない」と、自分の立場を明確にしましょう [58]。批判を受け流しつつ、建設的な方向へ話を進めるのがポイントです [58]。ただし、相手を挑発する言葉は避け、モラハラがエスカレートしないよう注意が必要です [58]。
- 真に受け流す: 相手の発言を真に受けず、モラハラは「相手の問題」であり、自分の価値を下げるものではないと認識しましょう [58]。感情に巻き込まれないよう、「ありがとう、参考にします」などの言葉を用意しておくのも有効です [58]。
2. 別居・離婚による物理的な距離の確保
モラハラが長期にわたって続く場合、うつ病や体調不良に繋がりかねません [64]。夫から離れることが最も効果的な解決策の一つです [14, 15]。
- 別居を検討する: 夫と物理的に距離を置くことで、あなたはそれまでの環境が異常であったことに気づき、冷静さを取り戻せるでしょう [14, 15]。また、相手にあなたの存在の重要性を感じさせる有効な手段にもなります [14]。
- 別居の準備: 別居に踏み切る前に、安全な別居先(実家、親族宅、賃貸物件、自治体が運営するDV避難施設など)を確保し、戸籍謄本、通帳、印鑑などの重要書類も確保しておきましょう [66-68]。経済的な見通しを立てておくことも重要です [66]。
- 婚姻費用請求: 別居中であっても、夫婦である限り生活費を請求する権利があります。これを婚姻費用と呼びます [6, 7, 67-70]。まずは内容証明郵便で請求し、支払いがなければ家庭裁判所に婚姻費用分担調停を申し立てましょう [67, 68, 71, 72]。婚姻費用は請求した時点からしか認められないのが原則です [71, 73]。
- 離婚の検討: 精神的な苦痛を我慢し続けることは、心身を壊す可能性があります [51]。モラハラは精神的暴力であり、うつ病やPTSDなどの心の病気につながることもあります [51]。人生の立て直しを図る意味でも、離婚を選択することも考慮に入れましょう [51]。
- 離婚の進め方:
- 協議離婚: まずは夫婦間で話し合い、離婚の意思と条件(親権、養育費、財産分与、慰謝料など)について合意を目指します [74, 75]。合意内容は公正証書にしておくことで、強制執行が可能となり安心です [74, 75]。
- 調停離婚・裁判離婚: 協議がまとまらない場合や、相手が話し合いに応じない場合は、家庭裁判所に離婚調停を申し立てます [8, 75]。調停でも合意に至らない場合は、裁判で離婚を請求することになります [8, 75]。夫が生活費をくれない行為は「悪意の遺棄」に該当する可能性があり、これは法定離婚事由の一つです [5, 8-11, 76]。
- 証拠の確保: モラハラや経済的DVの証拠は、法的手続きを進める上で非常に重要です [59, 77, 78]。日記やメモ(日付、時間、場所、内容、あなたの反応、目撃者名を詳細に)、録音・録画データ、メールやSNSのメッセージ、医師の診断書や通院履歴、親族や友人による証言などが有効です [59, 77-79]。
3. 困った時の相談先
一人で抱え込まず、外部の専門機関に相談することが、解決への大きな一歩となります [1, 80-82]。
- DV相談プラス [67, 79, 83, 84]
- 電話:#8008(最寄りの相談機関へ自動転送)または0120-279-889(24時間受付) [67, 79, 83, 84]。
- チャット相談:12:00〜22:00、10か国語対応 [83]。
- 経済的DVを含む様々な暴力の相談に対応 [67, 79, 83, 84]。
- 女性センター [80]
- 全国の都道府県・市町村が設置している女性のための総合施設 [80]。
- 「配偶者暴力相談支援センター」に指定されていることも多く、DVやモラハラの相談に適しています [80]。
- 電話番号:#8008 [80]。
- 法テラス(日本司法支援センター) [79, 85, 86]
- 弁護士費用に不安がある方におすすめの相談先 [85]。
- 経済的にお困りの場合、「民事法律扶助」で無料法律相談が可能 [85, 87, 88]。
- 正式依頼時の弁護士費用も立て替え可能で、月々5千円~1万円程度の分割返済ができます [85, 87]。
- 犯罪被害者支援ダイヤル(平日9時~21時、土曜9時~17時):DVに関する相談も可能で、必要に応じて弁護士との相談を取り次ぎます [86, 89]。
- 弁護士 [66, 79, 80, 90-94]
- モラハラ問題を解決するには、モラハラ案件に精通した弁護士の力を借りることを強くおすすめします [66, 80, 82, 90-94]。
- 証拠の評価、別居・離婚の戦略立案、交渉代行など多角的にサポートしてくれます [66, 92, 93]。
- 第三者であり、法的知識が豊富な弁護士が介入することで、モラハラ夫との力関係を対等にし、あなたの権利を守る重要な砦となります [66, 92, 93]。
- 多くの弁護士事務所で初回無料相談を受け付けており、電話相談も可能です [80, 85, 90, 95-98]。複数の弁護士に相談し、相性の良い人を見つけるのが良いでしょう [95].
- 発達障害者支援センター [99]
- 各都道府県に設置されており、家族の相談も受け付けていますが、予約待ちが長い場合もあります [99]。電話相談も可能です [99]。
- 警察 [100]
- DV・配偶者からの暴力相談に対応しています [100]。緊急時は110番に通報してください [83]。
女性の経済的自立と希望のロードマップ
私の経験のように、経済的DVは女性の自立を阻む大きな壁となります。しかし、経済的な自立は、見えない暴力からの脱却し、自分らしい人生を再構築するための重要な鍵です [101, 102]。
- デジタル人材育成:
- 人生100年時代において、女性が長期的に所得を向上し、経済的自立を果たすためには、就労に直結するデジタルスキルの獲得が有効な選択肢です [101]。これは、中高年の女性にとっても当てはまります [101]。
- デジタル分野は、育児や介護と両立しやすい柔軟な働き方(短時間勤務、テレワーク、フリーランスなど)が実現しやすい傾向にあります [101, 103]。
- 基礎的なデジタルリテラシー獲得の支援も重要であり、行政や企業、地域全体が女性のデジタル分野への参入を促し、働きやすい環境を整備することが求められています [101, 103]。
- 国立女性教育会館(NWEC)などが、女性の経済的自立に向けたデジタル人材育成のシンポジウムを開催するなど、具体的な取り組みも進められています [101, 103-105]。
- お金の管理を学ぶ:
- 自分の消費パターンを把握し、衝動買いや使いすぎを防ぐための対策を立てましょう [106]。
- 適切な金銭感覚を養うために、身近な人にお金の使い方を聞いたり、一般的な生活費やサービスの相場を調べたりすることも有効です [106, 107]。
- 自分に合ったお金の管理方法を見つけ、家計簿アプリの活用など、無理なく続けられる方法で実践しましょう [107]。
- 家族やパートナー、友人など、周囲の人にも協力を求めることが有効です [107]。
- 別居婚も選択肢に:
- すぐに離婚に踏み切ることが経済的に難しい場合でも、別居婚という選択肢があります [94]。これは、法律上の婚姻関係を維持しながら、お互いの同意の上で別居する形態です [94]。
- 別居婚を継続しながら婚姻費用分担調停を申し立てることで、婚姻費用と養育費を受け取り続けることが可能になる場合があります [94]。これにより、経済的な困窮リスクを避けつつ、安全な環境で生活を再建する期間を確保できます [94]。
カサンドラ経験者の声と事例
私と同じように、ASD特性を持つパートナーとの関係で苦しんでいる女性の声は、多数寄せられています。
- 「なぜカサンドラが苦しまなきゃいけないの?」という問いは、多くのカサンドラ経験者が抱く理不尽な思いを代弁しています [53, 108]。周りに理解されにくい苦しみと心の傷は、なかなか消えるものではありません [53]。
- 「にこちゃんさん」の母親はアスペルガーで、娘である彼女自身がうつ病になり、家族全員がカサンドラと診断されたと語っています [53]。彼女は「子どもの立場から言わせてください。どちらかがアスペルガーの両親であれ、子どもはどちらの違和感にも気づきますし、親の顔色を見ては自分を犠牲にして成長する癖がつきます。そしてアスペルガーの親を持つ子どもの苦しさは尋常ではなく、子どもの未来に蓋をするようなものです」と訴えています [53]。
- 「夜空に星をさん」は、「期待しない、諦める」と思っても辛い、と語り、心療内科や自助会探しに疲弊した経験を共有しています [54]。娘さんが夫の酷い言われ方で傷ついた際に、特性だからと言ってあげたかったが、娘は「そういうお父さんしか知らないから、そんなものかって感じ。お母さんが障害だと思った方がラクならそう思ってれば」と、無理に理解を求められない状況を経験しています [54]。
- 「ぽぽさん」は、夫がアスペルガーであることを知らずに結婚生活を送り、後に「1000%コレだ」と愕然とした経験を語っています [50]。彼女はストレスから「下唇の内側を強く噛む、髪をぐしゃぐしゃに引っ張る、口を金魚のようにパクパクさせる、瞬きが異常に早くなり息が苦しくなる」といった身体症状や、「数ヶ月耳がほとんど聞こえない状態になったり、体が異常にかゆかったり、円形脱毛になったり、常に体調が悪」いと訴えています [12]。また、「周囲の人と普通の話をするのもきつくて、明らかに自分がそこにいないという感覚」や「記憶力が年齢に比べ非常に悪くなった」と感じています [12]。
- 「光さん」は、相手のアスペルガーを知らずに結婚し、同じアスペルガーの親族ができ、子供も発達障害で、「気づいた時にはもう逃げられない状態」にいると訴えています [108]。彼女は「発達障害と知らないで結婚した人の人権は誰が守ってくれるのかといいたい。我慢して介護するだけの人生なのか」と切実な思いを語っています [108]。彼女は、DVのシェルターのように「カサンドラ側のシェルターがあれば」と提案しています [109]。
- 「かき氷さん」は、結婚して22年、夫の感情が読み取れない、簡単なことが正確にできないといった言動に違和感を感じ続け、自身がカサンドラ症候群だと気づきました [110]。彼女は「任せる事は出来ないので、諦めて家事は私が全てやっています。心が疲弊してもう普通の精神では要られません。八方塞がりで困っています。助けて下さい」とSOSを発しています [110]。
- 「ベンジャミンさん」は、夫がアスペルガー症候群、長男がADDと診断されており、自身も難病を患いながら家事全般をこなす日々で、「私自身が消耗し身も心もぼろぼろです」「まるて、主人はガラスの向こうにいるみたいに感じます」と孤独感を語っています [28]。彼女は「この苦しみを誰にも話すことはできません。私一人で抱えるには重すぎです。今すぐに消えてなくなりたいと思ってしまいます」と絶望的な心境を吐露しています [28]。
これらの声は、カサンドラ症候群がどれほど深く、そして孤独な苦しみであるかを物語っています。しかし、同じ経験を持つ人々との共感は、何よりも大きな救いとなります [81, 111, 112]。
ASDの種類とその理解
自閉スペクトラム症(ASD)は、その名の通り「スペクトラム(連続体)」として捉えられ、その特性の現れ方や程度は非常に多様です [1, 16, 17, 20, 24]。知的障害の有無や言語発達の状況によって、以前はアスペルガー症候群、広汎性発達障害などの診断名が使われていましたが、現在は自閉スペクトラム症という一つの診断名に統合されています [16, 17, 19, 113]。
ASDの主な特徴は以下の3点ですが、個々によってどの特性が強く現れるかは異なります [1, 18, 21, 24]。
- 社会的コミュニケーションと対人関係の困難さ: 相互的な会話が困難、非言語的なコミュニケーション(表情、視線、身振り)の理解・使用が苦手、人間関係の構築や維持の困難 [1, 2, 16, 20, 21, 26]。
- 限定された興味・行動の反復性、こだわり: 興味や活動の範囲が非常に狭く限定的、同じ動作を繰り返す、特定のルーティンへの固執 [1, 2, 20, 21, 26]。
- 感覚の過敏さまたは鈍感さ: 特定の音、光、匂い、触覚などに過敏または鈍感な反応を示す [1, 21, 22, 29, 31, 32]。
さらに、ASDの特性は、以下のような五つのタイプに分類されることがあります [36, 37]。
- 積極奇異型: 自分のルールで動きすぎてしまうタイプ [36]。他者への配慮が少なく、一方的に話を進めたり、自分の興味関心を押し付けたりする傾向が見られます。
- 受動型: 相手に合わせすぎてしまい、利用されやすいタイプ [36]。自己主張が苦手で、他者の意見に流されやすい傾向があります。
- 孤立型: 自分の世界に閉じこもるタイプ [36]。他者との関わりを避け、一人でいることを好む傾向が強いです。
- 大仰型: 社会生活に適応しようと意識的に努力し、ある種「大げさに」「丁寧に」振る舞うタイプ [36, 39]。不自然さは残るものの、大きな不適応はなく、強みを生かして適応改善を図ります。
- 尊大型: 「自分が上だと思い、他者を見下す」タイプ [33, 35, 36]。ASDに自己愛性パーソナリティ障害が「重ね着」した状態とされ、高圧的な言動やこだわりの押し付けが目立ち、パワハラやカサンドラ症候群の背景となることが多いです [33, 34, 36, 38]。過去の迫害経験などから他者不信になり、高圧的に振る舞うことで成功体験を積んだ結果、この思考パターンに移行することもあります [37]。
ASDの診断は、悩みの原因を理解し、自己理解を深め、適切なサポートを得るための重要なステップです [114]。しかし、ASDの特性自体は生まれつきの脳の仕組みであり、「性格」とは異なります [21]。そのため、特性を持つ本人に「悪気がない」場合も多く、この点が周囲、特にパートナーを深く傷つける原因となることがあります [26]。
まとめ:あなた自身の人生を取り戻すために
私自身の経験、そして多くのカサンドラ経験者の声が示すように、ASD特性を持つパートナーとの関係は、見えない精神的・経済的暴力に繋がり、心身に深刻なダメージを与える可能性があります。身体の傷は時間と共に癒えても、心の傷はそう簡単に癒えるものではありません [91]。不眠や白血球の異常など、私の身に起こった身体的なサインは、心からのSOSでした。
もしあなたが今、私と同じように苦しんでいるなら、一人で抱え込まず、外部の力を借りることが何よりも重要です [1, 80, 81]。弁護士、DV相談窓口、女性センターなど、専門の機関はあなたの味方です。特に、モラハラや経済的DVは証拠集めが難しい場合もあるため、弁護士のような法律の専門家に相談することで、法的な観点から有利な条件で離婚交渉を進め、慰謝料や養育費、婚姻費用を確保できる可能性が高まります [66, 78, 90, 93, 94]。
そして、経済的な自立は、あなたが再び希望を持って生きていくための「自己防衛」でもあります。デジタルスキルの習得など、就労に直結するスキルを身につけることは、あなたの選択肢を広げ、自信を取り戻すための大きな力となるでしょう [101]。
あなたの人生の主役は、あくまであなた自身です [42]。苦しい日々から抜け出し、あなたが再び笑顔で、明るい未来を夢見る権利を取り戻せるよう、心から願っています。
まずは、一歩踏み出して、専門家への無料相談から始めてみませんか。